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暇な公認会計士が、監査や身近な会計、その他自由に意見を述べています。

PTAの会計監査におけるポイントと具体的な監査手続例

PTAの会計監査担当者になったものの、「会計監査のやり方がわからない」、「いつ、どんなことをやるのかイメージがわかない」といった不安や疑問を抱く人は多いと思います。 そこで今回は、PTAの会計監査におけるポイントと具体的な監査手続例についてお話ししたいと思います。

PTAの会計監査とは、会計担当者が作成した収支決算書や会計帳簿などの会計資料を、会計監査担当者が検査し、正確かつ適正に作成されているかどうかを確認することです。会計監査をしっかりと行うことは、PTAの活動に対する信頼を高めるとともに、会計担当者の責任を明確にするために重要な役割を果たします。

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会計監査の目的と基準

会計監査の目的は、PTAの収支決算書が、PTAの活動実績や予算と一致しているか、また、会計帳簿や領収書などの会計資料が、正確かつ完全に記録されているかを検証することです。さらに一歩踏み込んで、資金の使い道(支出)がPTAの活動目的に沿ったものであるかを検証する場合もあります。

会計監査の基準は、PTAの会則や規約、予算決議、会計処理のルールなど、PTAの会計に関する規定や決定事項です。これらの基準に沿って、会計監査を行う必要があります。
非営利団体であるNPO労働組合には所轄する官庁や関係団体が公表する会計基準がありますが、PTAには明確な会計基準はありません。そのため、会則や規約の定めを主要なルールとし、一般的な会計慣行や過去からの慣習で補完することで実務が回っているのが現状です。
今までにない新しい収入・支出が生じた場合には、まずは会則や規約、過去の会計処理例や内部のマニュアル等を再確認し当てはめられるか検討し、該当する例がない場合には、他の会計基準で認められている処理を参考にしたり、他のPTA組織と交流があればそちらの会計処理を参考とすることとなります。

www.npokaikeikijun.jp

jicpa.or.jp

会計監査の時期と方法

会計監査はPTAの会計年度終了後に行われることが多いと思います*1。仮に監査で会計処理や収支計算書の誤りが発見された場合には修正が必要となるため、修正が見つかっても間に合うようにスケジュールを立てましょう。

会計監査の方法は、PTAの会計監査担当者が、会計担当者から提出された会計資料を、一つ一つ点検し、照合し、検算することです。会計監査担当者は、会計資料に不備や疑問があれば、会計担当者に確認や訂正を求めることができます。

会計監査の結果と報告

会計監査の結果の伝え方はいくつか考えられます。一般的には、総会に提出される収支計算書(決算報告書)の末尾に「会計監査の結果、上記の収支計算書が正確に作成されていることを認めます」といった一文を付け足し、会計監査担当者が署名・押印することが多いでしょう。

もししっかりやる場合には、会計監査担当者が「会計監査報告書」などのタイトルで、実施事項・発見事項・結果をまとめた文書を作成することが考えられます。

 

 

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具体的な監査手続例

ここでは、PTAの会計監査における具体的な監査手続の一例を示します。PTAの規模や活動内容によって、監査手続は異なる場合がありますので、参考程度にご覧ください。

会計監査の準備

会計監査を行う前に、会計監査担当者は、以下のような準備を行います。

  • 会計監査の目的と基準を確認する
    • PTA規約で監査の内容を決めている場合には、改めて規約をチェックしましょう。
  • 会計監査の時期と方法を決める
    • 会計監査担当者、会計担当者、その他監査に同席する関係者(会長、副会長、学校側の代表者など)の都合を合わせましょう。
  • 会計監査に必要な会計資料のリストを作成する
    • 決算報告書
    • 会計データ、帳簿類(試算表、仕訳帳、現金や預金の出納帳、現金在高帳(ありだかちょう)、会費の徴収簿など)
    • 銀行通帳
    • 領収書などの入出金の根拠資料
    • その他、毎年提出のある書類など
  • 会計担当者に会計資料の提出を依頼する
    • 上記のリストを提示するのが良いでしょう。
  • 会計監査に必要な用具や書類を準備する
    • 手続書や、手続の結果をまとめる書類
    • 電卓
    • 筆記用具
    • ハンコ
会計監査の実施

会計監査の実施は、以下のような手順で行います。

  • 会計担当者から提出された会計資料を受け取る
    • リストと照合し漏れがないかチェックしましょう。
    • 翌年度の担当者のために、リストを修正する必要がある場合には修正しましょう。
  • 会計資料の内容を確認する
    • 仕訳と根拠資料(領収書など)を照合し、正しく仕訳が行われていることを確かめる。
    • 仕訳の適用欄や、領収書などの支出に関する資料に目を通し、PTA活動の支出として認められるものかチェックする。
  • 会計資料の照合や検算を行う
    • 試算表と決算報告書は一致しているか、勘定科目と金額を照合する。
    • 試算表は仕訳の集計結果と一致しているか、仕訳を会計監査担当者が再度集計を行い確かめる。
    • 試算表、決算報告書の合計項目、差引計算は正しく行われているか計算チェックをする。
    • 現金、預金残高が出納帳と一致していることを確かめる。
    • 現金、預金残高と次年度繰越金が整合していることを確かめる。
  • 会計資料に不備や疑問があれば、会計担当者に確認や訂正を求める
    • 計算誤り、記載の漏れや誤りがある場合には必ず伝えましょう。
    • 支出内容に疑問がある(PTAの活動に関する支出とは認められない可能性がある)場合には、会計担当者に説明を求めましょう。
  • 会計監査の結果や意見をまとめる
    • 手続の結果と検出事項をまとめましょう。翌年度の担当者の参考になるようにまとめられると良いでしょう。
    • 監査報告書や、決算報告書に押印し、監査が終了していることを証明しましょう。
会計監査の報告

会計監査の報告は、以下のような手順で行います。 なお、決算報告書の末尾に「監査により問題ないことを確認しました。」などの文章を記載することで監査報告の代わりとする場合も多いと思います。

  • 会計監査報告書を作成する
    • 手続の結果と検出事項をまとめましょう。翌年度の担当者の参考になるようにまとめられると良いでしょう。
  • 会計監査報告書を会計担当者に確認してもらう
  • 会計監査報告書をPTAの総会や役員会などで発表する
  • 会計監査報告書を承認してもらう
  • 会計監査報告書を収支決算書とともに保存する

 

 

まとめ

以上、PTAの会計監査におけるポイントと具体的な監査手続例についてお話ししました。

PTAの会計監査は、PTAの活動に対する信頼を高めるとともに、会計担当者の責任を明確にするために重要な役割を果たします。

会計監査担当者は、会計監査の目的と基準を明確にし、会計監査の時期と方法を決め、会計監査の結果と報告を適切に行うことが求められます。会計担当者は、会計監査担当者と協力し、会計資料の提出や確認、訂正などを行うことが求められます。

PTAの会計監査は、会計担当者と会計監査担当者の連携がカギとなります。互いに信頼し、協力し、PTAの会計を正しく管理しましょう。

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*1:もちろん、年度の中間時点や月次で監査をしている場合もあるかと思います。