会計の引継ぎで「経費精算は絶対『領収書』じゃないとダメよ!レシートだけじゃダメ!」って強く言われたんだけど、そういうものなの?
多分なんの根拠もなく、昔の慣習を続けているだけだと思うわ。そういう人は領収書とレシートの違いすら分かっていないんじゃないかしら。
やっぱりそうなのね。今のところ疑問に思っていることは、
- レシートと領収書の違いって何?
- 絶対に領収書っていう名称じゃないとダメな場合っていつ?
- 結局のところ、PTAの経費精算でレシートってダメなの?
の3つね。チャチャっと教えてくれる?
なんか私が便利屋さんみたいになってるんだけど・・・。
ざっと答えるとこんな感じね。
- 多くのレシートは領収書として使えるわ。一般的にレジから出てきたものを「レシート」って呼ぶけど、そのレシートに「領収証」とか「領収書」って書いてあるのもあるしね。過去は区別があったかもしれないけれど、今は厳密に分ける必要ないわ。もはや考えるだけ無駄ね。
- 絶対に領収書っていう名称じゃないとダメな場合は、ないわね。消費税の申告をする場合でも、小売店やコンビニから買うならレシートで十分よ。そもそも消費税の申告なんてしないだろうから、領収書だろうろレシートだろうと、支払ったことがわかればどっちでも良いわ。
- 結局のところ、PTAの経費精算はレシートの方が良いわ。むしろレシートと別に「領収書」を作った場合には合計額しか書いていないくて、何を買ったかわからないことがあるわ。不要なものがないかチェックする意味でも、品目まで書いてあるレシートをそのまま使う方が便利だと思うわ宛名や金額を手書きしたレシートなんて最悪ね。あえて手書きの領収書を使うなんて、資金をちょろまかしているとしか思えないわ。
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レシートと領収書の違いは、そもそも考えない方が良い
今回は架空の100円均一ショップ「ひゃっきん」を例に、まずは一般的に「レシート」と呼ばれているものと、「領収書」と呼ばれているものの例を見てみましょう。
レシートに関しては特段説明不要でしょう。レジから出てくるものがレシートです。品目名、品目ごとの金額を分けていることが一般的です。小売店などではレシートに「領収書」と記載していることもあります。
領収書として多くの人がイメージするのは上記の例のようなものだと思います。レシートとの違いを見てみましょう。
- 宛名欄がある
- 宛名や金額は手書きとなっていることが多い
- 品目は記載されず、合計金額の記載のみとなっていることが多い
最近は「適格請求書」を発行する事業者が増えていること、またそれ以前より多くの小売店や飲食店ではレシート=領収書として扱うことが行われていることから、実務上は両者を区別する必要性が小さくなっています*1。
イメージとしては以下の画像の通りです。レシートはほぼ領収書に含まれる関係にあります。レシートに含まれない領収書は、レジから出さずに手書きで書いた領収書が該当します。領収書に含まれないレシートは、小売・飲食・タクシー等以外の事業者が発行するレシートで宛名等の必要事項の記載がないものです*2。
PTAの経費は、そのほとんどが小売店で物を買うことで発生すると思います。百円ショップとか、コンビニとか、西友とかイオンとか、そういうお店です。そうであれば、レシート=領収書です。あえてレシートを使わずに領収書を作ってもらう意味はありません。
結論:PTAの経理ではレシートと領収書を区別する必要なし。
絶対に領収書が必要なことは、ない
レシートは領収書と一緒ですよと言っても、「領収書っていう名称じゃないとダメダメ!レジのレシートだけじゃダメ!」という人はいるでしょう*3。
そこであえて、「法令で要求されていて「領収書」が絶対に必要な場合」について考えてみましょう*4。どんなときでしょうか?
・・・頑張って探したのですが、見つかりませんでした*5。
一番近いのは、消費税の仕入税額控除を受ける場合でしょうか。消費税の仕入税額控除を受ける場合には、「適格請求書」と呼ばれる書類を保存する必要があります。適格請求書(テキカクセイキュウショ)とは、「売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます」(国税庁HPより引用。太字・下線は筆者加筆)。
この「その他これらに類するもの」にレシートや領収書が含まれています。興味のある方は以下のfreeeの記事を読んでみてください。
でもまぁPTAで消費税申告をしているところはウルトラレアだと思います。というかあるんでしょうか?あったら知りたいです*6。消費税申告が不要であれば、適格請求書の保存義務もありません。
結論:PTAの収支会計においては、よくある「領収書」を用意する必要はありません*7。
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PTAの経費精算はレシートが、良い
ここまでにレシートは領収書とほぼ同じ、よくある領収書でないといけない場合はないということを確認してきました。
では、レシートと領収書のどちらの方が経理をするにあたって役に立つでしょうか?レシートと領収書の大きな違いを比べてみましょう。
レシート | 領収書 | |
品目 | 記載あり | 記載なし |
金額 | 品目ごと | 合計のみ |
書き方 | 基本的に印字 | 手書き |
品目が分かれていないと、どんな物品を買ったのかわかりません。そうすると、勘定科目を分けなきゃいけないのに分けられない、とか、PTAと関係ないものが混じっていても分からない、という問題が出てきます。
先ほどのレシートと領収書の例をもう一度見てみましょう。レシートの品目を見ると「ガム」とあります。百歩譲って会議のときにお菓子を用意するのはわかりますが、ガムはそぐわないのではないでしょうか?ガムは個人的な支出かもしれません。こう言ったことが、領収書ではわかりません。ガムを買ったことを隠したいなら領収書を用意するでしょう。
金額が分かれていないと勘定科目を分けられません。レシートにあるボールペンやA4用紙は消耗品費、お菓子や飲料は会議費に分ける必要があるかもしれませんが、領収書だけでは分けることができません。
手書きですと、簡単に偽造できてしまいます。金額にをちょっと細工して「¥21,448」とかにするかもしれません。数字の1を4に変えるかもしれません。最悪の場合は文房具店で売っている領収書に自分でテキトーに書いて、経費精算に含めてくるかもしれません。
手書きの領収書は不正の温床です。こんなもの*8をあえて用意するくらいであれば、レシートの方がよっぽど信用できます*9。むしろ領収書を強制することは、不都合な支出を隠しておきたいのでは・・・?と勘繰りたくもなります*10。
結論:PTAの経費精算はレシートを使うべき。領収書はレシートが出ない場合に限定し、使うのであれば内訳のわかる書類(請求書や納品書など)で内容を確認するべき。
* * *
今回の記事ではPTA会計担当者の基礎知識として「領収書ではなくレシートで経費精算してはダメか?」ということについて解説しました。この記事に関するご質問・お問い合わせがございましたら、コメント欄かお問合せフォームよりご連絡いただけると嬉しいです。
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input-and-output.hatenablog.com
*1:消費税に関する法令では、小売業、飲食店業、タクシー等を営む事業者が適格請求書等(領収書)を発行する場合に宛名の記載などを省略することができるものとされています。
*2:まぁとりあえずこう書いてみたけど、実際そんなレシートあるのかな?って感じです。
*3:そういう人は相手にしたくないですね。朽ち果てて欲しいです。
*4:朽ち果てるのはちょっと待ってください。
*5:やっぱり朽ち果ててください。
*6:ぜひコメント欄で教えてください!
*7:もしかしたら、会計ルールとか、内規で「領収書」と明記しているのかもしれません。でも先ほど書いたとおり小売業等では消費税法令で宛名の記載はしなくても良いとされているので、領収書=レシートです。領収書に何が含まれるのかを整理した方が良いと思います。
*8:失敬。
*9:レジの記録はお店の会計システムに反映し、売上等の会計記録に利用されるということを前提としています。そうでなければ印字だからと言って信用できません。実際、レシートの紙や印刷機は個人で入手できますし、よっぽど凝ったものでない限り似せて作ることはできてしまいます。
*10:会計士の職業病でしょうか。いや、全ての会計士がそういう人ではありません。そういう人ではない会計士はそれで良いのか・・・?との疑問は湧きますが。