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PTA会計担当者の基礎知識|PTAの資金横領を防ぐたった1つの必須ポイント

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  • お子さんが通っている学校のPTA会費はいくらですか?
  • お子さんが通っている学校のPTAでは繰越金はいくら貯まっていますか?

 

 

東京の大田区立小学校のPTAで、600万円も使途不明金があったんだって。

www.sankei.com

東京都大田区にある区立小学校のPTAの会計担当者などを務めていた女性が、令和5年度までの4年間で、計約600万円を無断で口座から引き出していた疑いがあることが19日、分かった。PTA側は18日に小学校で臨時総会を開き、保護者に対し一連の経緯を説明。今後、弁護士に相談し、警察に被害届を出す方針といい、民事告訴も視野に入れている。

<独自>東京・大田区立小PTAで600万円の使途不明金 元会計担当者が無断引き出しか - 産経ニュース より冒頭文を引用

使途不明金(シト フメイキン)って何かしら?

使途不明金っていうのは「何に使ったかわからないお金」ということね。

今回のケースでは「600万円を無断で口座から引き出した上に使い道はわかっていません」という状況みたいね。

600万円も引き出すのって簡単なの?

管理が杜撰だったら簡単ね

記事には「当時、口座の通帳やキャッシュカードは令和2~4年度までの会計担当者で、5年度は副会長だった女性が1人で管理」とあるわ。

そうね。

この1人で管理っているのが最悪ね

なんと。

この人は令和2年度〜4年度まで3期間続けて会計担当者だったから、会計周りのことはしっかり理解していると思うわ。それで、令和5年度は副会長になった。4期間ずっとPTAをやっているなんて、かなりベテランね。こういう人がいると色々物事の進め方をわかっていてありがたい反面、管理の緩いところをよく知っていたり皆から信頼を得ていることを良いことに資金をコントロールする立場になることがあるわ。

  • ベテラン。
  • 会計をよく知っている。
  • 資金を1人で任される。

この状況は、もはや「いつでもお金持っていってくださーい💸」って言っているようなものよ。

ベテランがいるとやりやすいけど、過剰な信頼は禁物ってことね。

どうすれば防げたのかしら?

資金を1人で動かせないようにすることね。

  • 通帳とハンコは別々の人が管理する。
  • キャッシュカードを持つ人と暗証番号を知る人は分ける。

人数が少ない場合でも、通帳&キャッシュカードを持つ人、ハンコと暗証番号を知る人、の2人は分ける必要があるわね。

記事に過去の横領事例が出ているけれど、例えば家計の急変なんて誰にでも起こり得るわ。どんなに信頼できる人でも家族を守るためにはPTAの資金に手をつける可能性がある。それをさせないために、資金を1人で動かせないようにしておくことが大切ね。

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さて、今回はだいぶ長くブタさん・ネコさんに話してもらいました。

PTAの資金横領に関するニュースは年に1度は目にするように思います。自分たちは大丈夫と思わずに、今回の事例を参考に管理体制ができているか改めて見直してください。

 

どんな組織でも共通する資金横領を防ぐたった一つのポイントは、資金を1人で管理しないことです

毎回2人以上で出金作業をするのは面倒かもしれません。それでも会員から集めた資金の不正使用を防ぐためには、2人以上で管理することが絶対に必要です*1。ここは手間を惜しんではいけません。この手間をどうでも良いと思うのだったら、資金管理に携わらない方が良いと思います。

 

さて、個人的に産経新聞の記事で気になった点をいくつか書いておきます。

  • 600万円も引き出す資金があるなんて、資金多すぎじゃない?今回のケースが瞬間的に起こったのか(600万円一気に横領したのか)、それとも複数年かけて行われたのか(数十万円を何回かに分けて横領したのか)わかりませんが、それにしても600万円も資金があるなんて多すぎるように思うんですけど。活動は近年少なかったみたいですね。それにしても多いと思います。
  • PTA会費は年額1人4400円って、高すぎじゃない?過剰に会費を受け取っている疑惑が個人的に高まっています。いや、自分の知っている会費の事例が少ないせいかもしれません。私の知っている範囲では範囲では、1家庭1,000円〜2,000円程度です。今回の事件があった大田区の学校では、子ども1人の場合には年額4,400円、6年間で26,400円です。そんなに費用のかかる活動をしているのでしょうか?いや、そんな活動をしていないからこそ600万円も余裕資金があったのでしょう。
  • 会計監査を見直す前に予算管理、会費の徴収、資金管理を見直すべきじゃない?記事には「PTA側は今後、口座の管理など含めて会計監査を見直すなど、対策をとるとしている。」とあります。会計監査なんて言っていないで、①適正な予算を作って、②会費の徴収を必要な額に抑え、③2人以上で資金管理をする、の3つに取り組むべきです。活動計画を作成し、金額(支出額)に落とし込み、その支出に見合った会費を徴収するというのが基本ではないでしょうか規約に定めている会費が既得権益となっているのではないでしょうか?そういう観点から見直す必要があるような気がします。あと、会計監査を外部の公認会計士に依頼するのなら効果があると思いますが*2、内輪で、監査も経理もよくわかっていない素人にやらせているのであれば意味がないと思います。

今回の記事では最近発生した資金の横領事例をもとに、資金管理の最低限必要なポイントを解説しました。この記事に関するご質問・お問い合わせがございましたら、コメント欄かお問合せフォームよりご連絡いただけると嬉しいです。

 

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*1:もちろん結託されたら防げません。結託されることも考慮するのであれば、人数を増やす(人数が増えるほど全員が結託する可能性は小さくなる)、横領する気も起こさないほど資金を少なくしておく、などの対策が必要だと思います。

*2:幸い公認会計士に監査を依頼できるくらいの資金は貯まっていたようです。あ、でも今は横領されてしまっていました。