「しわけ」って何?会計担当者の引き継ぎで、帳簿に「しわけ」をしなきゃいけないみたいなんだけど。レシートを収入・支出ごとに箱に分ける(仕分ける)感じ?
「仕分け」じゃなくて「仕訳」ね。収入・支出を帳簿に書いておくことを仕訳(しわけ)って言うの。
なんか難しそう。簿記3級とか必要?
いらないいらない😆簿記3級で使っているのは「複式簿記」ってやつね。収支会計は「単式簿記」と言って、要はおこづかい帳の延長みたいなものよ。仕訳も難しくないわ。単式簿記って書き方に決まりもないから、自身のPTAでどんな帳簿の付け方をしているか確認する必要があるわね。
実際にどんな帳簿の付け方があるの?
- 白色申告の帳簿様式例を参考にした方法
- 収入支出の区分を使って仕訳を書いていく方法
- 複式簿記の要領で仕訳を書いていく方法
などがあるわ。3は難しいけれど、複式簿記の書き方をそのまま使うこともできるのよ。それぞれ例を見ておきましょうか。
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仕訳の書き方(複式簿記と単式簿記)
PTA会計担当者の基本的な仕事として、収入・支出を帳簿に記録する作業があります。この収入・支出を帳簿に記録する作業のことを仕訳と言います。「仕訳」と聞くとこんなものが思い浮かぶかもしれません。この良く見る仕訳は「複式簿記」で使われます。借方・貸方に分けて書くのが複式簿記の特徴です。
一方、収支会計では「単式簿記」と呼ばれる方法で仕訳を作成します。単式簿記では収入・支出を記録するだけであり、これといって決まった書き方はありません。今回の記事では収支会計の仕訳の書き方として3つ例示したいと思います。
- 白色申告の帳簿様式例を参考にした方法
- 収入支出の区分を使って仕訳を書いていく方法
- 複式簿記の要領で仕訳を書いていく方法
白色申告の帳簿様式例を参考にした方法
個人で小さな事業をしている人のために、国税庁では白色申告者の帳簿様式例というものを公表しています。白色申告の帳簿の付け方は収支会計と似ているので、PTAでもこれを利用することができます。
Excelで作ってみた例を貼り付けておきます。この場合は各行のそれぞれが「仕訳」となっています。勘定科目の増減や名称の変更、科目ごとの金額の集計が簡単で、次年度繰越金(=資金残高)もわかりやすいので、会計初心者でも作業をしやすい様式だと思います。
国税庁の例だと日付のすぐ隣が摘要欄になっています。個人的には、国税庁の例だと摘要欄が長いときには見にくくなってしまうため、画像のように右端に置いておくタイプが好きです。
収入支出の区分を使って仕訳を書いていく方法
先ほどの様式の場合、勘定科目の数が多くなると表が横長となり見にくくなってしまうことがあります。勘定科目が多い場合には、以下のように仕訳を1行ずつ作り、勘定科目ごとに収入・支出を集計するのが良いと思います。複式簿記でいう仕訳と試算表を作るイメージです。
収入・支出の区分を使う代わりに、数値のプラス・マイナスで収支を表すことも考えられます。上記の例を、収入=プラス、支出=マイナスに置き換えると次のようになります。
この方法では勘定科目が増減しても見やすさが損なわれない一方で、Excelの知識がない人だとメンテナンスがしにくいという難点があります。
- メリット:
- 勘定科目が多い場合でも見やすさが損なわれない。
- デメリット:
- 集計のためにExcelで式を組んでいる場合やピボット集計を使っている場合には、ある程度知識がある人でないとメンテナンスができない。
複式簿記の要領で仕訳を書いていく方法
収支会計=単式簿記ですが、複式簿記のように仕訳を書くこともできます。
複式簿記は貸借対照表と損益計算書を同時に作るための仕訳方法(帳簿記録方法)です。決算報告のために貸借対照表を作らないのであれば、あえて複式簿記を採用するメリットは少ないと思います。例えば、次のような状況にある場合には複式簿記を採用するメリットがあります。
- 現金の所在、預金口座が複数あり、現金の保管場所ごとの残高、預金口座ごとの残高を適時に把握したい場合:例えば、「現金-本部」「現金-〇〇委員会」などのように勘定科目名を用意することで場所別、口座別の残高を管理することができます。
- 資金の範囲に現金・預金以外の流動資産、流動負債を含んでいる場合:立替金や未払金などを資金の範囲に含めている場合にはこれらの勘定科目で仕訳を行うことで、立替・未払残高の管理ができます。
- 高額の固定資産を有しており、貸借対照表を作成して固定資産の管理及び会員への報告をする場合:高額の固定資産を支出後に帳簿外で処理することは望ましくありません*1。複式簿記を採用し固定資産の管理に役立てると良いでしょう。
複式簿記を知らない人のためにざっと複式簿記の特徴を説明しておきます。
- 単式簿記(収支会計)では収入(資金の増加)と支出(資金の減少)を記録していたが、複式簿記では「資産」「負債」「純資産(資本)」「収益」「費用」の5つの要素の増減を記録する。
- 単式簿記(収支会計)では収支計算書を作成するが、複式簿記では「貸借対照表」と「損益計算書」を作成する。
- 複式簿記では仕訳を借方(左)、貸方(右)に分けることで、資産・負債・純資産(資本)・収益・費用の増減を記録する。借方・貸方のどちらに書くかはルールが決まっている。
仕訳の借方(左)、貸方(右)のどちらに書くか決まっているというのが特徴です*2。仕訳の借方・貸方がわからない人は、こちらの画像を参考にしてください。画像の「複式簿記の基本の位置」のとおり、資産と費用は借方(左)に書いたとき、負債・純資産(資本)・収益は貸方(右)に書いたとき増加を意味します。
冒頭に貼り付けた画像をもう一度見てみましょう。
1行目は現金という「資産」が左側にあり、資本金という「純資産(資本)」が右側にあります。つまり、資産も純資産も基本の位置です。ですから1行目は「現金と資本金が10,000増えた」ことを表します。簿記の問題っぽく文章で書くと「資本金として現金10,000を出資した」となります。
2行目は旅費交通費という「費用」が左側にあり、現金という「資産」が右側にあります。つまり、費用は基本の位置ですが、現金は基本の位置の反対です。この場合は、「費用は220増えて、資産が220減った」ことを表します。こちらも文章で書くと「旅費220を現金で払った」となります。
少し説明が長くなってしまいました。複式簿記について軽く理解したところで複式簿記の仕訳例を見てみましょう。各取引の内容は前節の収支会計の例と同じです。収支会計の例で「収入」区分となっていた仕訳は借方が現金で、「支出」となっていた仕訳は貸方が現金となっています*3。
これらの仕訳を集計して「試算表」を作成します。そして試算表を分割し、【資産・負債・純資産(資本)】をまとめた「貸借対照表」、【収入・支出】をまとめた「収支計算書」を作成します。収支計算書において収入と支出の差額を次年度繰越金として算出し、貸借対照表の純資産(資本)として同額を記載します*4。
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今回の記事では「収支会計の仕訳」について解説しました。この記事に関するご質問・お問い合わせがございましたら、コメント欄かお問合せフォームよりご連絡いただけると嬉しいです。
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