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初めてPTA会計担当となった人が使える|支払時のチェックポイント

今年からPTAの会計担当になったんだけど、今まで経理なんてやったことないんだよね。とりあえず出された請求書にお金払っておけばOK?

いやいや、それじゃあダメだろう。会計担当となったからには、その請求書に対してPTAの資金を支出して良いかチェックしないとダメだ。

何それ面倒。

会計担当はお金を預かる仕事なんだから適当じゃダメだ。仕事でも使えるチェックポイントを教えるから実践してみてくれ。

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今まで経理の経験がない中で初めてPTAの会計担当となると、何をしたら良いかわからないことだらけだと思います。このまま知識のない状態で会計業務がスタートすると、ひとまず周りから文句が出ないように、もらった請求書に対してチェックもせずにせっせと支払いを行う、なんて状態になってしまいます。

今回はそんな会計初心者の方に、支払いを行う際のチェックポイントを解説します。時間がない人用にチェックの全体像をフローチャートにしておきましたので、こちらだけでもご利用ください。

支払チェックのフローチャート

今回はこちらのレシートを例に使います。NEKOYU(ねこゆー🐈)という生活関連品がなんでも売っているお店です。レシートをざっとみてみましょう。ボールペンはPTA活動で使う文房具でしょうか。おや?たまごなんて買っていますね。これはPTA活動に関係ないような気が・・・。上記のフローチャートのSTEPに合わせて見ていきましょう!

レシート例



 

 

STEP1 支出した日付が当年度かどうか確かめる

レシートの日にちをチェックしましょう。

まずは支出日をチェックしましょう。これが当年度内であれば問題はありません。そのままSTEP2に進んでください。

年度の切り替わり時期である4月上旬だと、前年度の支出のレシートを持ってくるような場合があります。前年度分の支出をどのように処理するかは、自身の所属するPTAの方針に従ってください。もし扱いが不明な場合には以下の記事を参考に処理を行ってください。

input-and-output.hatenablog.com

STEP2 PTA活動に関係ない支出が含まれていないかチェックする

PTA活動に関係ない支出が含まれていないかチェックしましょう!

当年度の支出であることがわかったら、次な支出の内容をチェックしましょう。品目欄を見て変なものが含まれていないか確かめてください。

  • 文具、消耗品:いつ、誰が、どんな目的で使うものか。使った後のモノはどこに保管するか(買った人が持っていってしまっていないか)
  • 飲食物:いつ、誰が、何のために使うのか。会議参加者に振る舞う場合には参加人数に対して多すぎないか。

今回の例に「たまご」とありますが、これはPTAの支出である可能性は限りなく低いと思います*1。請求した本人から申し出があれば良いのですが、もし何も言ってこなかった場合には「たまごはPTA活動と関係ないので精算額から除きますね」ときちんと伝えましょう。

関係のない支出が紛れていないか常に気をつけることで、不正な資金支出を防ぐことができます。会計担当者の超重要なお仕事です。ご興味があればこちらの過去記事もどうぞ。

input-and-output.hatenablog.com

 

もし全てPTAに関係する支出であれば、STEP3を飛ばしてSTEP4に進んでください。

STEP3 PTA活動に関係のない支出を除く

PTA活動に関係のない支出は支払から除く

STEP2でPTA活動に関係のない支出を見つけたら支払対象から除きましょう。レシートを貼り付ける台紙やレシートの裏側に、支払対象とするもののみリストアップして記載しておくと後でチェックをしやすいと思います。

 

 

STEP4 勘定科目を確かめる

買ったものがどの「勘定科目」に分類されるかチェックしましょう

支出を記録するときは物品名を使わずに勘定科目を使うことが一般的です。勘定科目とは、取引の内容をわかりやすくまとめた見出しのことです。例えば、鉛筆・ボールペン・ノート・A4コピー用紙をまとめて「消耗品」としたり、ペットボトル飲料・お菓子などをまとめて「飲食費」とか「会議費」とします。

勘定科目の名称に決まりはなく、各PTA団体で自由に決められます。また、どのような支出をどのような勘定科目に分類するかも各団体で自由に決められます*2。自由とは言いつつも、PTA内部のルールがあればそれに従いますし、過去に同じような支出があるのならそのときに使った勘定科目を使うのが良いでしょう*3

全て同じような内容であれば勘定科目を分ける必要はありません。勘定科目を決めたらSTEP6に飛びましょう。

STEP5 分ける必要がある場合には勘定科目を分ける

今回のレシートについて、提出した人に聞いたところ次のような使い道とのことでした。

  • ボールペン:本部で使うボールペンがインク切れだったので買い足した。
  • ペットボトル飲料:本部の新役員の顔合わせ会用
  • お菓子:本部の新役員の顔合わせ会用
  • A4用紙:本部で使うコピー用紙が不足していたので買い足した。
  • たまご:家庭用

また、このPTA団体では次のように勘定科目の使い道を決めていたとします。

  • 消耗品費:文房具、コピー用紙・・・・。
  • 会議費:会議室代、会議時に提供した飲食物代・・・。

これらをまとめると、勘定科目は下記画像のように決定できそうです。たまごはPTAの支出でないため勘定科目は不要です。

必要に応じて勘定科目を分けましょう。

STEP6 合計額で仕訳を行って良いか確かめる

STEP1→STEP2→STEP4が全て「YES」の場合には、レシートに不要なものがなく、勘定科目も一つで良いという状態です。最後に支出の記録を物品単位とするか、合計で良いか確認しましょう。

これも一般的な決まりはなく、各PTA団体の方針によります。方針として合計額で記録をして良い場合にはそのまま記録しましょう。

面倒ですが分けなくちゃいけない場合にはSTEP7に進んでください。

STEP7 消費税を按分する、勘定科目ごとに集計する

消費税を勘定科目ごとに分けて、勘定科目ごとの支出額を集計する

STEP3、STEP5で行った作業を元に、消費税額と税込合計額を算出し、最後に勘定科目ごとに集計しましょう。税込合計額を計算したら、レシートの合計金額と一致しているかチェックすることを忘れずに。

 

 

FINISH 帳簿に記録する

お疲れ様でした。最後に帳簿に記録しましょう。

  • STEP5から来た場合:合計額で帳簿に記録しましょう。
  • STEP6から来た場合:勘定科目ごとに分けた金額で記録しましょう。

皆さん帳簿は何を使っているんでしょうか?ノートやExcelでしょうか。使いにくくないでしょうか?

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今回の記事では「初めてPTA会計担当となった人が使える支払時のチェックポイント」について解説しました。この記事に関するご質問・お問い合わせがございましたら、コメント欄かお問合せフォームよりご連絡いただけると嬉しいです。

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*1:もしかしたらおでんパーティーをするためのたまごが不足していたのかもしれません。

*2:「自由」という表現に誤りはないと思いますが、同時に「常識」のある分類が行われることが前提にあります。例えば先ほどのボールペンについて、「消耗品費」「文具費」に分類するのであれば常識の範囲内です。場合によっては「会議費」に分類するのも妥当でしょう。ですが飲食を伴う会合で使うからと言って「飲食費」に含めるのは違うと思います。そのような会で飲食物を「飲食費」とするならボールペンは「消耗品費(文具費)」となるのではないでしょうか。あるいは、飲食とボールペンをまとめて「会議費」とするのならわからないわけでもない・・・。いや、そもそも昨今、飲食を伴う会合を「会議費」とするのだろうか。「接待交際費」?それならボールペンは「消耗品費(文具費)」になるだろう。

*3:多くの会計基準では、特に理由がなければ処理方法を変えないという「継続性の原則」を重視しています。PTAに会計基準はありませんが。