レシートの日付と実際に出金をした日付って違うことがあるじゃない。帳簿への記録はどっちの日付ですれば良いの?
PTAの収支会計であれば、基本的には出金日で帳簿に記録すればOKね。
「基本的には」ってことは例外もあるの?
もちろんあるわ。
- 決算日を跨いで精算が行われるような場合
- 資金の範囲に「未払金」を含むような場合
こんな場合には例外的な処理が必要ね。
ちょっと難しいわね。
とりあえず基本の「帳簿への記録は出金日で行う」ってところを押さえておいて、慣れてきたら例外についても学んでいきましょう!
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基本:収支会計では出金日で帳簿への記録を行います
PTAの経費精算において、レシートの日付(実際にモノを買った日付)と出金日(経費の精算を行なった日付)が違うことはよくあることです。実際問題、買った日の内に精算できることの方が少ないのではないでしょうか。
会計担当として不慣れなうちは、帳簿の記録をレシートの日付と実際の出金日(精算した日)のどちらで行えば良いかわからない、というようなケースがあるでしょう。今回は実際のケースを例に取りながら、基本的には出金日で帳簿の記録を行えばOKということを確認していきましょう。
今回の事例:
- 前年度繰越金:32,860円(全て現金)
- 4月中は入金・出金どちらも一切なし
- 4月25日に、会議費1,188円、消耗品費1,265円の合計2,453円の立替が生じた
- 4月30日に、月次の現金残高の確認(現金実査)を行なった
- 5月10日に、立替の精算を行なった
- 5月の入金・出金は、この立替経費の精算のみであった
- 5月31日に、月次の現金残高の確認(現金実査)を行なった
- 資金の範囲は「現金」のみである。銀行預金はない。
事例の状況を図示すると以下のようになります。まずは図表1「立替経費の発生と精算、現金実査表の関係」をご覧ください。4月25日に立替経費が生じました。4月30日時点では経費の精算が行われていないため、前年度繰越金と同額の32,860円の現金残高となっています。その後、5月10日にPTAの資金(現金)から立替を行いました。5月31日に現金実査を行った結果、立替経費の出金と同額が減少した30,407円の現金残高となりました。
次に、現金実査表と会計帳簿の関係を見ていきましょう。会計帳簿には実際に支出があった日付で支出の記録を行います。つまり、4月25日の時点では何も記録をせず、5月10日に資金が動いたことを受けて帳簿への記録を行います。これにより、現金残高が4月末から5月末の間にどのような内容で動いたのかが帳簿に記録されることになります。図表2「現金実査表と会計帳簿の関係」をご覧ください。4月末と5月末の現金残高を比較すると、2,453円の減少となっています。会計帳簿では、支出(現金の減少)として、会議費1,188円、消耗品費1,265円の合計2,453円が記録されています。今回の例ではこれ以外の取引がないため、4月末・5月末の現金実査表の残高が会計帳簿の次年度繰越金と一致し、4月末・5月末の現金実査表の動き(変動)が会計帳簿の5月中の支出と一致します。
この例から分かる通り、会計帳簿に記録する日付を資金の動いた日付と一致させることで、会計帳簿と現金実査結果を整合させることができ、会計帳簿の信頼性を高め、事後的な検証に役立つようになります*1。
ちょっと考えて欲しいのですが、仮にレシートの日付で帳簿に記録してしまったらどうなるでしょうか?つまり、会計帳簿には4月25日の支出として記録し、現金を動かすのは5月10日とするということです。こうすると資金の残高が、4月末の現金実査表では(実際に現金が動いていないことから)32,860円であるのに対し、会計帳簿の4月末次年度繰越金は(支出を記録していることから)30,407円となり、現金実査表と会計帳簿が不一致となります。これでは会計帳簿を信頼して良いのか、現金実査表を信頼して良いのかわかりません。
PTAの収支会計においては、収入・支出が実際に行われた時点で帳簿に記録をし、会計帳簿上の資金残高(繰越金)と現金実査表の残高を整合させるようにしましょう。
例外:出金日以外の日で帳簿の記録を行う場合があります
例外についても見ておきましょう。例外とは、実際に資金が動いた日「以外の」日で帳簿に記録を行う場合のことです。よくあるケースとして決算日を跨いで経費精算が行われる場合と、資金の範囲に「未払金」を含む場合があります。
決算日を跨ぐケースはどの団体でも生じる可能性が高いことですので、ぜひご確認ください。一方資金の範囲に「未払金」を含めているケースは多くはないと思いますので、参考までにご確認ください。
例外1:決算日を跨いで経費精算が行われるケース(レシート日付は決算日前、出金は決算日後)
決算日が3月31日の場合で、3月30日(当年度内)に経費の立替が生じ、実際に精算を行なったのは4月2日(次年度)になるようなケースを考えてみましょう。
3月30日の支出を原則通り4月2日の支出とすると、本来は当年度の支出とすべきものが次年度に先送りされていることになります。これでは当年度の実績が少なくなり、当年度予算と実績の比較が適切に行えません。
そこで、例外として当年度内に支出が行われたものとして、3月30日(又は決算日である3月31日)の支出として帳簿に記録し、決算日時点の現金残高で調整を行うことが考えられます。
詳細についてはこちらの記事で解説していますので、よろしければご覧になってください。
input-and-output.hatenablog.com
例外2:資金の範囲に「未払金」を含むケース
収支会計の「資金」はお金(現金・預金)に限られません。規約や会計ルールに明記することで未収入金や未払金なども含めることができます*2。
資金の範囲に「未払金」を含む場合には、上記例の4月25日時点で支出(未払金)を記録し、さらに5月10日において支出(未払金に対する資金の支出)を記録します。図表2の帳簿例には表現しにくいですが、複式簿記の仕訳を例にとると次のように表せます。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
4月25日 | 会議費 | 1,188 | 資金【未払金】 | 2,453 |
消耗品費 | 1,265 | |||
5月10日 | 資金【未払金】 | 2,453 | 資金【現金】 | 2,453 |
例外1と同じですが、こちらの記事の「解決法2」において未払金を用いた処理の解説をしていますので、ご興味のある方はご覧ください。
input-and-output.hatenablog.com
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今回の記事では「収支会計で帳簿に記録する取引の日付」について解説しました。この記事に関するご質問・お問い合わせがございましたら、コメント欄かお問合せフォームよりご連絡いただけると嬉しいです。
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*1:会計帳簿はただ作成すれば良いというモノではありません。他の関係する資料と整合性を確保することで、記録が正しいことを証明でき、信頼できるものとなります。この例のような帳簿を使っているときに、各月末の「次年度繰越金」が各月末に作成される「現金実査表」と不一致であれば、記録されていない収入・支出がある可能性があり、帳簿が不完全=信頼できなくなってしまいます。反対に捉えれば、帳簿の信頼性を確保するために、次年度繰越金と現金残高を突合(とつごう:数字を照合すること)するとも言えます。
*2:短期金銭債権・債務(流動資産・負債)を含めることが考えられます。固定資産まで含めるのは技術的には可能なのかもしれませんが、「資金」という名称とあまりにもそぐわないので個人的には反対です。