質問
公認会計士から監査役とディスカッションを実施したいと言われたのですが、なぜディスカッションをするのでしょうか?秘密の話でもあるのでしょうか?
回答
主に次のことを達成するために、公認会計士は監査役とコミュニケーションを取ります。
- 公認会計士と監査役がお互いに実施している監査の内容を理解し、効果的に連携するため。
- 公認会計士が、監査役から監査に関連する情報(特に不正や違法行為)を入手するため。
- 監査役が財務報告プロセス(財務諸表を正しく作成するために行われている業務)を監視する責任を果たし、それによって公認会計士が識別した重要な虚偽表示リスクを軽減するため。
コミュニケーションは面談(ディスカッション。対面又はオンライン)又は文書のやり取りで行われます。たまに、経理の方が知らないこと、まだ知らせていないことなどを話すときもあります(不正や違法行為など)。
コミュニケーションが必須な事項
公認会計士と監査役のコミュニケーションは、監査基準報告書260「監査役等とのコミュニケーション」(以下「監基報260」とします。)をもとに実施されます。
監基報260では、次の事項を必須のコミュニケーション事項と定めています。多くの監査事務所では必須の伝達事項に漏れが生じないよう、テンプレート化した文書を用意し毎期監査役に提出をします。
- 財務諸表監査に関連する監査人の責任
- 計画した監査の範囲とその実施時期(公認会計士が識別した特別な検討を必要とするリスクに関するコミュニケーションを含む)
- 監査上の重要な発見事項等
- 監査人の独立性
- 品質管理のシステムの整備・運用状況
赤太字で示すとおり、公認会計士が識別した特別な検討を必要とするリスクは監査役に伝達されますので、会社側としては何が特別な検討を必要とするリスクになっているのかを把握し、関連する勘定科目や業務プロセスに関しては監査対応が増えることを把握しておくのが良いと思います。
その他のコミュニケーション事項
上記の必須事項の他に、公認会計士と監査役はどのような事項であってもコミュニケーションを行えます。例えば以下の事項についてコミュニケーションをとる場合があります。
- 重要でない事業拠点(子会社や営業所・工場)に対して公認会計士監査ではどのようなチェックがなされるか。
- 経理をはじめとした各部署の公認会計士に対する対応状況
- 公認会計士が実施した内部統制の整備・運用状況の評価結果(統制の不備がない場合でも、公認会計士として気づいた点があるかどうか)
会社側(公認会計士監査に対応している人)が対応すること
監査役と公認会計士が直接連絡を取り合えるのであれば、特段対応は不要かと思います。そうでない場合(監査対応者が監査役と公認会計士を仲介する場合)には、最低限以下の事項を準備すれば足りるかと思います。
(公認会計士に確認すること)
- 日時、場所(対面 or オンラインの確認を含む)
- 面談の目的と議題(監査担当者が知らない不正や違法行為に関する事項の場合は、公認会計士はぼやかして伝えることもあります)
- 参加者(監査役だけで良いか、社長や関係する部署の役職員等も必要か)
(監査役に確認すること)
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今回の記事では「監査役とのコミュニケーション」について解説をしました。もしご質問があればコメント欄やお問い合わせフォームよりご連絡ください。