こんにちは、monchyだよ*1。
この間本屋を散歩していたら、普段はあまり立ち寄らない生物関係の棚から、ゴリラがこっちを見つめてた。
スルーしても良かったけれど、ゴリラのまっすぐな目線に負けてお買い上げ。
そんな経緯で買った本だけど、とても勉強になる本だったから紹介したい。
どんな本?
この本は、ゴリラ・サルの社会と人間の社会を比べて、最近の人間社会の変なところをあぶり出しつつ、解決策を考えていくという内容だ。
ゴリラやサルの社会といっても、いきなりゴリラが喋り出したり、サルと人間が戦争を始めるようなフィクションじゃない。ゴリラ研究の世界的権威である京都大学総長の山極先生が、ゴリラと実際に生活した中で学んだことをもとに、現代の人間社会(というか主に日本の社会)に警鐘を鳴らすものだ。
誰にオススメ?
この本はどんな人に合うだろうか?
ゴリラの絵は表紙にしか出てこないし、挿絵や写真はない。もしかしたらゴリラ好きには物足りないかもしれない。
ゴリラやサルの社会と比較して人間社会のおかしいところを指摘する本は、本書以外には存在しないかもしれない。そういう意味では、新たな視点をえるにはうってつけだ。既存の現代社会に異議を唱える本に飽きた人にはおすすめできると思う。
monchy的注目ポイント
この本のmonchy的注目ポイントはここだ!
第3章 人類が見落としている平和への近道 サル化した社会が生む短絡的思考
この節では、サルが人間のように群れを自由に出入りしないことに着目している。人間の場合は群れの間を自由に行き来する(仕事⇔学校⇔趣味)が、サルの場合にはそういった異動ができない。一度群れから離れたあとに元いた群れに戻ろうとすると、元の仲間から一斉攻撃されてしまう。
人間はもともと許容に満ちた社会を作ってきたはずなのだが、著者はこの点を次のように考えている。
昨今の人間社会は次第に不在を許容できなくなっているように私は感じる。常に顔を合わせていないと仲間外れにされたり、スマホをオンにして仲間からの問いかけに即座に応じなければ、友達から拒否されたりするような閉鎖的な感性が育ち始めている。人間の信頼が、過去ではなく現在の関係によってしか得られないという極めて短絡的な思考が蔓延しているような気がする。
それは人間の歴史に逆行し、サルの社会にもどることだと私は思う。
(文字サイズ&色変更 by monchy)
「人間に短絡的な思考が蔓延していて、サルの社会に戻っている」という主張は、本書ならではのものだと思い、とても新鮮だった。
ちなみに、ここ以外の節の多くは、『短絡的思考の原因』か、『短絡的思考の結果生じる社会の異変』、もしくは『社会の異変の解決案』について書かれているように感じた。この節の主張を中心に据えて本書を読むと、理解が深まると思う。
他の読みどころは?
本書ではこれ以外にも、人間社会で最近(ゴリラ視点で)おかしくなっている点についてたくさんふれられている。いくつか節の見出しをピックアップしたい。
・和食はひとりで食べるべからず
・仲間を見つめるゴリラ、スマホを見つめる人間
・感情暴走社会の由来
ぜひ本書を読んで、ゴリラからの警告を受け取ってほしい。
*1:硬い文体で書くのに疲れたから方針転換だよ!