ノンフィクション。本書は、「ルネッサーンス!!!」のかけ声が印象深い一発屋芸人*1による、一発屋芸人について書かれたノンフィクションだ。
著者はこの本について、
と述べている。
そんな本書を読んでほしいのは、一発屋芸人を「一発屋芸人(笑)」という雰囲気で呼んでいる人だ。「一発屋」という響きがいかに重たいか、本書は教えてくれる。
そういえば、リンカーンによる「人民の、人民による、人民のための〜」で知られるゲティスバーグ演説は、非常に短く簡潔だった*2。
本書でも、芸人一人あたりのページ数はおよそ20ページであり決して長くはない*3。このため、余計なエピソードがなく、一発後がギュッと詰まっていることで、今を生きる一発後の芸人たちの姿が鮮明に描かれているように感じた*4。
さて、本書では、次の芸人が取り上げられている。
こいつ誰だ、なぜあいつが入っていないんだ。色々と疑問に思うこともあるが*6、著者の人選に文句を言う筋合いはないだろう*7。仮に知らないとしても、一発の時期を見逃していたのだったらしかたない。
一発後にまったく鳴かず飛ばずの者、違う芸に取り組む者、テレビからは遠ざかっているが営業で活躍している者。一発屋とひとくくりにされても、その後の人生は多種多様。
そんな芸人達の姿から、学べることがある……ような気がするが、もしかしたら何も学べないのかもしれない。
一発屋から学びたい人も、単に生存確認がしたい人も、本書を手にとって楽しんでほしい。