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「一発屋芸人列伝」 一発屋の、一発屋による、一発屋に捧げる本

ノンフィクション。本書は、「ルネッサーンス!!!」のかけ声が印象深い一発屋芸人*1による、一発屋芸人について書かれたノンフィクションだ。

 

著者はこの本について、

一発屋の、一発屋による、一発屋へ捧げる拙稿が、悩み苦しむ芸人たちのゲティスバーグ演説となれば幸いである。

と述べている。

そんな本書を読んでほしいのは、一発屋芸人を「一発屋芸人(笑)」という雰囲気で呼んでいる人だ。「一発屋」という響きがいかに重たいか、本書は教えてくれる。

そういえば、リンカーンによる「人民の、人民による、人民のための〜」で知られるゲティスバーグ演説は、非常に短く簡潔だった*2

本書でも、芸人一人あたりのページ数はおよそ20ページであり決して長くはない*3。このため、余計なエピソードがなく、一発後がギュッと詰まっていることで、今を生きる一発後の芸人たちの姿が鮮明に描かれているように感じた*4

 

さて、本書では、次の芸人が取り上げられている。

こいつ誰だ、なぜあいつが入っていないんだ。色々と疑問に思うこともあるが*6、著者の人選に文句を言う筋合いはないだろう*7。仮に知らないとしても、一発の時期を見逃していたのだったらしかたない。

 

一発後にまったく鳴かず飛ばずの者、違う芸に取り組む者、テレビからは遠ざかっているが営業で活躍している者。一発屋とひとくくりにされても、その後の人生は多種多様。

そんな芸人達の姿から、学べることがある……ような気がするが、もしかしたら何も学べないのかもしれない。

 

一発屋から学びたい人も、単に生存確認がしたい人も、本書を手にとって楽しんでほしい。

 

一発屋芸人列伝

一発屋芸人列伝

 

 

 

*1:失礼。

*2:あまりにも短くて、気付いたときには演説が終わっており、演説時のリンカーンの鮮明な写真がないらしい。

*3:テツ and トモはエピソードが多いおかげか28ページ。ムーディ勝山と天津・木村は二人で20ページ。

*4:単に一発後のエピソードがないというわけではないことを願う。

*5:髭男爵山田ルイ53世が本書の著者。

*6:不勉強で恐縮だが、ハローケイスケは知らなかった。小島よしおが入っていない。

*7:わたしたちは一発屋じゃないのだから。