2016年1月31日放送のサザエさんを見ていた時、我が家のお茶の間の一角で衝撃が走った。
働く時間が増えれば給料も増える。タイムカードが成果を意識させないことに役立っている。
会社や何かの組織に雇われている人であれば、多くの人が持っているタイムカード。アルバイトも派遣も正社員も、工場のライン工も商社のサラリーマンも。みんな持ってるタイムカード。
そもそも、なんでみんなが持つ必要があるのだろうか?
アナゴさんとマスオさんは営業職だ*1。営業職の宿命は、売上を上げることにある。彼らの成果は売上をどれだけ上げたかで評価される*2。
そんな彼らにとって、本来何時間働こうがどうでもいいはずだ。1時間で目標を達成すれば、それで満額の給料を貰えばいい。一方で1,000時間働いても目標に届かなければ、給与カットでサヨウナラ。営業職の成果と給料を結びつけるとこういうことになる。
だけれど、実際には労働時間をタイムカードに記録し、時間外労働があればその時間に対して給料が払われる。成果があげられなくても、時間をかければ給料が増える。そんな風に給料を払うことが「あなたの時間に価値がある」という誤解を生む原因になっている。
その裏では、成果と報酬の関係が希薄になっている。アナゴさんとマスオさんがきちんと成果を上げているのかわからないけれど、他部署のお姉ちゃんと喋っている間も、二人で新聞を読んでいる時にも給料は発生している*3。それで時間外労働が行われれば追加の給料が支払われる*4。
今の暮らしを守りたいのなら、こんな疑問を持ってはいけない。真面目に考えてもいけないし、ましてや解決しようとしてもいけない。
時間に価値がるという誤解は解決しちゃあいけない。誰かが、「価値は社員の労働時間ではなく『成果』だー!」と言って、報酬制度を変えてしまったらどうなるだろうか?
妄想してみよう。
日本人的な事なかれ主義で、今までと大差ない給料が払われることで落ち着くかもしれない。結局何も変わらないかも。
達成困難な成果を与え、給料を無理やり下げる会社が出てくるかもしれない。
報酬の高い成果、低い成果が明確になり、給与の格差が広がるかもしれない。
どんなシナリオになるかわからない。それだからこそ、今の暮らしを守るためには疑問を持ってはいけないし、真面目に考えてもいけないし、解決しようなんて考えてもいけない。時間に価値があるとみんなが思っている(思っているフリをしている)うちはみんなが幸せだ。
唯一できることは、こうやって細々とブログを書いて、自分一人で行動する勇気を持つくらいだろうなぁ。
今日の参考文献とか。
連合総研のホームページに、「日本の賃金−歴史と展望−」というものがありました。全文無料で閲覧できます。日本の賃金制度を学ぶために役立つ資料です。
自分が何かに気づいたとしたら、他人が何と思おうと、気づいた自分を受け入れてあげてほしい。「嫌われる勇気」を読んでアドラー心理学の考え方を知ったら、少しは楽になれるかもしれない。
将来を妄想する上で、「残酷な20年後の世界を見据えて働くということ」を読んでみるのも面白い。どんな変化が起きるのか、どういう働き方をすれば変化に耐えられるのか。もちろんこの本が答えになるわけではないけれど、考えるきっかけにするには読み易いです。
電車関係の仕事はなかなか減らないかな。それとも自動運転が主になって、人手はほとんどかからなくなるのかな。