input & output

input したことを output していくブログ

疑問:労働時間と経済成長率の関係

 

日本の経済成長率が低下しているもう一つの理由

自分で調べて記事を書こう。

2015/09/22 10:05

 この記事によれば、

 労働時間が短くなる → GDPが増えにくくなる → 経済成長率が低下する

ということが述べられています。

果たして本当なのかと、ふと疑問に思いました。

 

労働時間が減っても、効率的に富を生み出せるようになれば、GDPは減らなくて、経済成長率も低下しないのではないか? 

 

そんな疑問を抱き、実際に労働時間1時間あたりのGDPがどうなっているか数字を拾ってみました。

といっても、自分で基礎となる数字を作るほどの財力も時間もないため、そこは政府が行っている統計数値に依拠したいと思います。

 

今回は、統計局のHPで公開されている「日本の統計2015」を使用しました。

統計局ホームページ/日本の統計本書の内容

 

(補足)

個人的には、労働時間というインプットと、経済成長率という特定期間を比較した情報を比べることは、なかなか難しい論点だなぁと感じています。一方で、労働時間と、GDPというアウトプットを比較することは単純な話であり、効率性を考える上でも重要だと思います。以下では、一応経済成長率との関係を見つつ、労働時間とGDPの関係に焦点を当てます。

調査に使用したデータ

GDP → 第3章国民経済計算 → 3-1国内総生産(支出側)

労働時間1 → 第16章労働・賃金 → 16-9非農林業の週間就業時間別就業者数*1

労働時間2 → 第16章労働・賃金 → 16-21産業別常用労働者1人平均月間総実労働時間数*2

 

労働時間には、農業部門を含む統計と含まない統計を両方採用しています。

 

「日本の統計2015」で、GDPと労働時間の統計数値を両方使えるのは、以下の年度です。これ以外の年度については、今回の調査対象から除外しています。

 平成12年、平成17年、平成22年、平成23年平成24年、平成25年

 

 

調査結果

 調査結果は以下の通りです。

f:id:monchy-monchy77:20150923233443p:plain

 

字が小さくて読めるか不安ですが、大丈夫でしょうか。

 

実質ベースのGDPは、ここ3年は増加傾向にあります。これは事実として受け止める必要があります。ちなみに、ここで隠れている年度には、リーマンショックなどで相当停滞していた期間が入っているため、上記図表だけだとミスリードをする可能性があります。そのため、統計局に出ている経済成長率の各年推移を別途添付しておきます。これでも、一時的な悪化(及び翌年の急回復)を除き、実質GDPは比較的安定していることが見て取れます。

http://www.stat.go.jp/data/nihon/img/g150703.gif

http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0703.htm より引用)

 

労働時間は、平成12年度と比較し、近年は減少しています。

(非農業部門)

 平成22年度:1798時間(対平成12年度:96%)

 平成23年度:1788時間(同:96%)

 平成24年度:1808時間(同:97%)

 平成25年度:1792時間(同:96%)

(全体)

 平成22年度:2101時間(対平成12年度:93%)

 平成23年度:2090時間(同:93%)

 平成24年度:2090時間(同:93%)

 平成25年度:2059時間(同:92%)

 

GDPに関しては、名目では減少傾向にありますが、実質では増加傾向にあります。

 

時間あたりGDPについて、平成12年度と平成25年度を比較すると、名目では微減(というよりもほぼ横ばい)ですが、実質では増加しています。

(非農業部門)

  名目 → 微減(275→270 98%)

  実質 → 増加(256→296 115%)

(全体)

  名目 → 微減(228→227 99%)

  実質 → 増加(213→258 120%)

 

これらの数字から言えることは、以下の2点でしょう。

  1. 労働時間と名目GDPとの関係については、不明である(どちらも微減であり、これだけの分析では何も提言を見出せない)
  2. 労働時間と実質GDPとの関係では、労働時間が減少しても実質GDPが増加していることから、実質GDPを生み出す効率性は高くなっている。

新たな疑問

  1. なぜ名目GDPに対しては影響が見えない一方で、実質GDPとは負の相関が見えてくるのか?別の要因が関係しているのか?
  2. 労働時間の減少要因は、効率性を高めていくことを裏付けるものであるのか?(ITの高度化による労働時間減少であれば裏付けるかもしれないが、単に団塊世代が引退したことが要因であれば、裏付けとしては弱いかもしれない)

 

いかがでしょうか。

他国との国力を比較するのに、GDPは重要な概念だと思います。いかに効率的にGDPを稼ぎだすかという観点で、議論が発展してもおもしろいですね。

 

(注)厳密な統計的な計算は行っていませんので、ご留意ください。また、筆者は学者でもなんでもありませんので、その点もご留意ください。

*1:平均週間就業時間の「総数」に対して、52週を乗じて年間労働時間とみなしています。

*2:各年度の「調査産業計」に対し、12ヶ月を乗じて年間労働時間とみなしています。