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暇な公認会計士が、監査や身近な会計、その他自由に意見を述べています。

「ルポ 児童相談所」を読んだよ!

 こんにちは、monchyです。

 

サッカーW杯の話題でもちきりな今日この頃だけど、こんな痛ましい事件があったことを覚えているでしょうか。

(元々朝日新聞のリンクを貼っていましたが、ページが消えていたので別の記事に変えました)

mainichi.jp

 

両親の虐待で子どもが命を落とす悲しい事件。亡くなった子は、ノートに「もっとあしたはできるようにするからもうおねがいゆるして」*1と書いていたとのこと。

同じ5歳児の子をもつ立場として、このニュースを見るたびに悲しく、苦しくなる。

なんで親は虐待をしたのか*2。そして、なんで児童相談所は子どもを助けられなかったのか。

 

そんなことを思っているときに、「ルポ 児童相談所 (朝日新書)」を見つけました。

 

どんな本?

とある児童相談所への密着取材と、現場の方へのインタビューを通じて児童相談所の実態を明らかにしている本だ。

多くの人は直接関わりを持つことがないであろう児童相談所。その内情を知ることができる貴重な本だ。

 

本書ではまず、とある児童相談所*3への密着取材の様子が書かれている。児童相談所が関わっている実際の事案を取り上げながら、職員個人の事案への取組み、地域連携の様子がうかがえる内容となっている。

 

さらに本書では、先進的な取り組みをしている地域の担当者、首長へのインタビューを行なっている。児童相談所が抱える課題や、今後どのように変わっていくのか。その道筋を垣間見ることができる。

 

monchy的注目ポイント

さて、本書を読んでいると、児童相談所の職員の方が、過酷な労働環境にいることが随所に書かれている。

 

子どもを一時保護(職権保護)しにいったとある事案は衝撃的である。

(引用)「いやや、いやや、いやや〜!」

母親は小走りに台所に飛んで行き、シンクの下から包丁を持ち出した。こちらに向かってくるかもしれないと阿部が身構えた瞬間、母親は自分の腹に刃を向けた。 (p.17)

冒頭からドラマのような出だしだが、本書はノンフィクションだ。

 

児童相談所に持ち込まれた事案は、各職員に割り当てられる。職員は、事案の緊急度、重要度に応じて、子どもの安全確認や一時保護に向かったり、子どもの保護者と面談をしたりと、非常に不規則かつ長時間の労働環境にいる。

特に、とある職員が「ほとんどうちがネグレクトです」と漏らす一言が、その現実を如実にあらわしていると感じた。

 

最近注目を浴びることが多い児童相談所の実態を理解するために、本書はうってつけである。本書を読んで問題点を皆で共有し、「どうすれば子どもの安全を確保することができるか」と考えることが大切なのではないかと思う。

 

ルポ 児童相談所 (朝日新書)

ルポ 児童相談所 (朝日新書)

 

 

*1:上記リンク先の記事より引用。

*2:本人たちは虐待だと思っていなかったのかもしれない、という視点は残しておくべきだと思います。周りからみたら明らかに虐待でも、もしこの事件の両親が小さい頃に同様の環境で育てられていたとしたら、それが通常だったのかもしれません。虐待は世代間で連鎖することがあります。

*3:どこの児童相談所かは、本書の中でも明らかにされていない。