input & output

input したことを output していくブログ

「ルポ タックスヘイブン」を読んだよ!

こんにちは、monchyです。

本屋を散歩していたら「ルポ タックスヘイブン」という本を見つけたよ。

職業柄気になったから、早速読んでみた!

 

 

 

どんな本?

この本は、『パラダイス文書』を情報源として、タックスヘイブンを使っている会社や個人を、ジャーナリスト達が追いかけた一連の過程を記したものだ。

ジャーナリスト活動の裏側を、特に、国際的なジャーナリストネットワークの連携を見ることができる貴重な作品だ。

 

誰にオススメ?

そういった内容だから、この本はジャーナリストを目指す人にすすめたい。各国、機関のジャーナリスト達がどのように連携をとっているのか、その片鱗を見ることができる。

反対に、タックスヘイブンの制度や使い方を知ろうとする人にはおすすめできない。monchyも当初はこの目的で買ったのだけど、タックスヘイブンの実務的なことは書かれていなかった。

 

タックスヘイブン?タックスヘブン?

さて、ここまで自然と「タックスヘイブン」という用語を使ってきたけれど、この用語の意味は、みんなわかるのかな?

タックスヘブンではなくて、タックスブン。租税天国ではなくて、租税回避のことだ。

日本では会社の利益に対する税率はだいたい30%程度*1だけど、世界には税率がもっと低い国がある。こういう税率が低い国をタックスヘイブンと呼んでいる。

一部の会社は、なんとか法律の隙間をぬって、日本で出た利益を税率が低い国に移して税金の支払いを少なくしようとする。一方で国家は、租税回避ができないように法律を整備する。こういう戦いが日々繰り広げられている。

 

タックスヘイブンのポイントとしては、必ずしも違法ではないということだ。その点は本書でも認めている。そのうえで本書では、次のスタンスをとっている。本書を読むうえでは、このスタンスを抑えておいたほうが読みやすい。

 

タックスヘイブンをその名前に引きずられて「タックス」の側面だけから見ていては問題を間違って認識することになり、したがって解決策も誤る。タックスヘイブンの問題は税逃れだけでなく、もっと幅広く、究極的には、ここの多くの人々の自由、人権を害する結果を招来するかもしれない不条理な制度欠陥である、ということを忘れるべきではない。

 

monchy的注目ポイント

タックスヘイブンについての説明が長引いてしまった。本書の見どころに移ろう。

 

パラダイス文書」という単語を覚えているだろうか?「パナマ文書」なら覚えているだろうか?どちらもタックスヘイブンに関する機密文書だ。本来表に出てくるものではないが、なぜか出てきてしまった、タックスヘイブンに関する大量の証拠資料だ。

本書の見どころは、「パラダイス文書」の流出から、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合*2との連携、各国同時一斉報道までの緊張感を、日本メディアからの視点で追体験できることだ。朝日新聞ICIJ取材班の視点で全体の流れ、日本国内における個別の流れを体験したのち、朝日新聞NHK共同通信の3社対談を読むことで、体験が補強される。読み終わると、自分も取材班の一員となったかのようだ。

 

3社対談の中での次の一節が、とても興味深かった。少し長いけど引用したい。

パナマ文書にせよパラダイス文書にせよ、すごい記述があって、その中に不正がいろいろ書いてあるとか、不正じゃないけど秘密がいっぱい書かれていて、それをただちに書けば記事になると思われている。そういうものでは、まったくないですよね。文書の中にあるのはちょっとした表だとか、公文書だとか。そこに独自取材を必ずふまえて、それによって、こういうことがわかったというニュースになるわけ。出発点が文書というだけで、あとは普通の取材、報道。パラダイス文書であれば、パラダイス文書というドキュメントが端緒というだけの話。

 

本書では、ここで書かれている独自取材の難しさ、特に海外との連携があるがための難しさも書かれている。ぜひ本書を読んで、ジャーナリズムに触れてほしい。

 

 

 関連本

本書を読みながら、こんな本があったことを思い出した。ジャーナリストとはどういうものかについて簡単に書かれている。岩波ジュニア新書だが、大学生が読んでも良いだろう。

 

 タックスヘイブンの仕組みについて知りたいのならこちらの本の方がいいだろう。どうでもいいが、「タックスヘイブン」なのか、「タックス・ヘイブン」なのか……。いやはや本当にどうでもいい。

タックス・ヘイブン――逃げていく税金 (岩波新書)

タックス・ヘイブン――逃げていく税金 (岩波新書)

 

 

*1:税効果会計で用いる実効税率。利益に対する法人税や住民税などの税率を計算すると、だいたい利益に対して30%くらいの税率になるってこと。消費税や固定資産税など、利益とは関係なく税金が決まるものは、実効税率の計算からは除かれている。

*2: https://www.icij.org