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書評記事に物申す!あなたの記事は「著作権」を守っていますか?

「著作権」。あなたの書いたブログ記事が、知らないうちに誰かの著作権を侵害しているかもしれません。著作権について少しだけ考えてみましょう。

 

 

 この2週間くらい、「読書」カテゴリーの記事はほとんど全て目を通しているのですが、少し気になっている点があります。

 この記事、著作権を侵害しているのではないだろうか?

 本の主張を言い回しを変えて伝えているのだけれど、大事なことはほぼ全部書いてしまっていて、本を買う価値をなくしてしまっているのではないだろうか?

 

 年が変わり、ブログを書くときに「著作権」について注意すべきこと、そして有意義な記事とはなんだろうか?ということを少し考えてみようと思います。

 

著作権の侵害はどのようなときに起こるのだろうか?本の内容を引用して記事にしている人は多いけど、あれはOKなの?そもそも引用ってなんか決まりあるの?

 まず、ブログを書くときに留意する点については、下記記事を読めば十分かと思います。

www.secomtrust.net

 もっと詳しく知りたいのであれば、「著作権なるほど質問箱」を見てみましょう。文化庁のHPですので、信頼性は非常に高いと思います。

 

 これら以外にも著作権について解説しているものは多々ありますので、自身で探してみることもオススメします(それだけで記事が1本でも10本でも書けるでしょう)。

 いくつかの記事や、本に書いていることをざっくりとまとめると、少なくとも以下の3点は十分に注意をする必要があります。

  1. 丸写しはダメ!歌詞の丸写しなんてもちろんダメ!
  2. どこかのデザインを丸パクリするのもダメ!(提供されているテンプレートをそのまま使う分には何ら問題なし)
  3. 「引用」はほどほどに。

 

 引用については、どうしてもボカして書かざるをえない事情があります。というのも著作権法での定めを見てみると、実務の定着やその時々の解釈に任されているような内容となっているからです。

(引用)

第32条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。(太字・下線は筆者が付加)

 書評記事を書くために、本の一部を引用することは問題ないのだと考えられます。ですが、きちんと「引用している」ということがわからないと、この法律に反することになります。

  重要なことは、「公正な慣行に合致」して、かつ「正当な範囲内で行われるもの」でないとダメだということですが、よくわからないですね。

 先ほどの「著作権なるほど質問箱」を見てみると、こんなことが書いてあります。

この法律の要件の中に、「公正な慣行に合致」や「引用の目的上正当な範囲内」のような要件があるのですが、最高裁判決(写真パロディ事件第1次上告審 昭和55.3.28)を含む多数の判例によって、広く受け入れられている実務的な判断基準が示されています。例えば、[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性が該当します。 (太字・下線は筆者が付加)

  少し難しいですが、ここではざっくりと明日からブログを書くための注意点を2つ挙げておきます。ぜひ参考にしてください!

  1. (主従関係・必然性)引用文が文章のほとんどを占めているのはおかしい!引用した文章について、あなたの意見やその他の事実の提示があるはずです。きちんと自分の意見を書きましょう。
  2. (明瞭性)引用するときにはブログの編集機能で用意されている「引用」を使おう!「 」で括る方法も間違いではないけれど、機能を使った方が間違いなく明瞭です。できれば引用元の本の題名やページ数なども書きましょう。

 

「読書」カテゴリーの書評記事を見ていると、たまに気になることがある。本のエッセンス部分を紹介しただけの記事は、著作者に対して不誠実なのではないだろうか?

 「読書」カテゴリーの記事を読んでいると、たまにこんな感想を抱く記事があります。

この記事を読めば、本を買う必要ないじゃないか!

 

 書き手としては、本を読んで得た知識をアウトプットするために、大事だと思ったことをまとめて書いたのだと思います。ただ、重要なエッセンスをまとめて記事にしてしまったら、本の価値がなくなってしまうのではないだろうか

 何よりも厄介なのは、本の内容を頭で解釈して自分の言葉で記事にするので、引用なのか意見なのかが非常にわかりにくいということです。同一性保持権(著作権法第20条)が担保されているのでしょうか……?

 

 私個人の意見として、以下のような流れが生じているのであれば、いい加減な書評記事について規制をするか、書評の対象となった著作物の作者にインセンティブを払うべきだと考えています。ブログの書き手だけでなく、運営主体にも相当のリスクがあるのだと思います。少し考えてみませんか?

 

本を読む

解釈して自分の言葉で記事にする

記事の読み手は(引用か記事の書き手の意見かわからないけど)納得してしまう

本を買わずに済ませる

本の著作者は、本も売れないし、自分の考えが(場合によっては)ねじ曲がって拡散してしまう

本として公表する意欲が著作者から削がれて、有用な意見が世に出てこなくなる

 

 こんな流れを作らないように、著作者にはきちんと敬意を払いましょう。あなたの書評記事も、全ては元の著作物あってこそ価値があるのです。

 

 誰かの著作権を侵害していないかな?という点は、明日から書き始める人でも、ブログ歴数年のベテランの人でも、良い機会だと思うので一度考えて欲しいです。

 記事を公表する以上、「知らぬが仏」では済まされないので注意しましょう!

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